かなり埃まみれですがこれ何だかわかりますか?
これは電動工具が普及する前に大工さんが建具の溝や窓枠の飾り面を加工する特殊なカンナです。いまはトリマーなどであっという間に加工できますが昔は一本一本手加工されていました。ローテクといってしまえばそれまでなのですが、カンナ掛けは実に奥が深い技術で樹種や仕上げの程度で刃を研ぐ角度や刃の焼き入れ具合で仕上がりが変わってきます。刃の研磨角度や木との相性のいいカンナなどを見極めるのは経験からのみ得られるものでいいカンナを持っているから綺麗にだれでも仕上げられるものではありません。そうそう、砥石も重要です。
よく、木を読むなんていいますがこれは木の成長過程を木目などから推測して木材としてどの部分に利用するかを予測することですが、一本一本の材料を自分の手で加工して取付けまで行えば木を読む力が自然と身に付くものだと経験上感じています。個人差はあると思いますが、
私が大工としてこの業界に入ったころはまだ手加工を加える部材が多かったのですが現在の多数の住宅建設現場ではこのような経験を積むチャンスがありません。懐古主義ではありませんが日本の職人の知恵の伝承が失われているのも事実ではないでしょうか
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